RECIPE

プルドポークの作り方。10時間、その場にいる料理

プルドポークとは、豚肩ロースを110℃で10時間焼き、中心温度97℃で「手でほぐれる」状態に仕上げるアメリカ南部の料理。BBQの王様と呼ばれ、バンズに挟んでサンドイッチとして食べるのが王道です。10時間そこにいる料理、火を見守り、温度を眺め、何度も覗く。料理する人の存在そのものが、味を決める料理。

2026.05.06読了 約8分カテゴリー:レシピ
ほぐされたプルドポーク

プルドポークとは何か

プルドポーク(Pulled Pork)は、アメリカ南部生まれの料理。豚肩ロースを長時間ロー&スローで焼き、フォーク2本で「ぐっと引っ張ると」繊維がほぐれる状態に仕上げた料理を指します。"pulled" は「引きちぎる」の意味です。

北・南カロライナ州、テネシー州、ミズーリ州(カンザスシティ)など、アメリカ南部の各地に独自のスタイルがあります。SLOW FIRE が伝えるのは、最もシンプルで応用しやすい「カロライナ・スタイル」です。

使う部位 — ボストンバット

使う部位は 豚肩ロース。アメリカでは "Boston Butt"(ボストンバット)と呼ばれます。重量は2〜3kgが一般的、コンペティションでは5kg超を扱うことも。

肩ロースは、生きている間に最も働く部位の一つで、コラーゲンと脂が豊富。ステーキにすると硬くて食べられませんが、長時間ロー&スローで焼くと、コラーゲンがゼラチン化して豚肉の中で最も柔らかく、最も濃厚な味になります。

部位を選ぶコツ

脂は適度に残っているものを選ぶ。脂を完全に取り除くと、10時間の調理中にパサつきます。表面に1cm程度の脂層がある状態が理想。

下準備(前日仕込み)

  1. 表面の余分な脂をトリミング。1cm以上ある部分は薄く削ぐ。完全に取り除かない
  2. マスタードを薄く塗る。風味のためではなくラブを密着させる接着剤として
  3. BBQラブをたっぷり擦り込む。表面・側面・断面まで指で押し付けるように
  4. ラップで包んで冷蔵庫で一晩。最低6時間、できれば12時間寝かせる

10時間の全工程

ステップ時刻例グリル温度内部温度
1. 前日:ラブを擦り込み一晩寝かせる前日21:00冷蔵庫
2. 当日朝:グリルを110℃にセット06:30110℃
3. 脂を上にして置く(ファットキャップアップ)07:00110℃4時間〜70℃
4. スタリング到来 → アルミホイルで包む11:00120℃に上げる3〜4時間〜92℃
5. 92℃を超えたら一気に進む。97℃で取り出し15:00120℃97℃
6. クーラーボックスで30分以上レスト15:0060℃以上
7. プル(ほぐす)15:30

ウッドチップを足すと、煙の香りが入ります。プルドポークには ヒッコリー または アップルウッド が定番。最初の3時間だけチップを焚けば十分です。

スタリングを乗り越える

110℃で焼いていると、4時間目あたりから内部温度が 65〜75℃ で止まります。これがスタリング。多くの初心者がここで「失敗した」と諦めます。

正体は、肉表面からの水分蒸発による気化熱。蒸発によって肉が冷却されています。乗り越え方はシンプル:アルミホイルで包む。蒸発を遮断するだけで、温度が上がり始めます。

包む前に、アップルジュースを大さじ2〜3杯振りかけると、保湿と風味の両方に効きます。

完成からプルする(ほぐす)まで

97℃に到達したら、プローブ温度計で「抵抗なくスッと刺さる」状態を確認。これが本当の完成のサインです。

取り出してから30分以上クーラーボックス(保温箱)でレスト。これが重要。レスト中も内部温度は数℃上がり続け、肉汁が再分配されます。

プル(ほぐす)の手順

  1. アルミホイルから取り出し、大きな皿の上に置く
  2. 骨をスッと引き抜く(簡単に抜ければ完成のサイン)
  3. フォーク2本を反対方向に動かして、繊維に沿ってほぐす
  4. 溶け出した肉汁とラブをかけて全体を和える
  5. BBQソースは「かける」ではなく「絡める

食べ方とアレンジ

王道はプルドポーク・サンドイッチ。

応用:タコスの具、ライスボウルのトッピング、ピザの具材、ベーグルサンド、リーフサラダのプロテインなど、無限に展開可能。冷蔵保存3日、冷凍1ヶ月もちます。

10時間、その場にいることの意味

プルドポークの10時間は、料理する人の存在を試す時間です。

火を見守り、温度を眺め、煙の色を確認する。スタリングで焦り、ホイルで包む判断をする。97℃に到達した時、骨がスッと抜ける感触を指で確かめる。10時間そこにいて、何度も覗く。これが料理になります。

BBQが「料理」ではなく「」だと言われるのは、こういう料理が中心にあるから。プルドポークを焼く朝6時の静けさは、夕方のテーブルの賑わいと、対になっています。

CONCLUSION

結論

プルドポークは110℃で10時間、中心温度97℃で完成する料理。豚肩ロースのコラーゲンが完全にゼラチン化し、フォークでほぐれる王様の食感に仕上がります。

初心者は バックリブ(4時間) から始めて、慣れたらプルドポークに挑戦する流れがおすすめ。仕込みから提供まで12〜13時間かけられる週末こそ、プルドポークを焼く日です。

FAQ

プルドポークについてよくある質問

プルドポークとは何ですか?

豚肩ロース(ボストンバット)を110〜120℃で8〜10時間ロー&スローで焼き、中心温度97℃まで運んで「手でほぐれる」状態に仕上げるアメリカ南部の料理。バンズに挟んでサンドイッチとして食べるのが王道です。

なぜ97℃まで焼くのですか?

豚肩ロースは結合組織が多く、コラーゲンが完全にゼラチン化するのが92℃以上。さらに97℃まで運ぶことで筋繊維がほどけ、フォーク2本で簡単にほぐれる「プルド」状態になります。

スタリングが起きたら?

70℃前後で温度上昇が止まる「スタリング」は正常な現象です。慌てずにアルミホイルかピンクの食肉用ペーパーで包むと乗り越えられます。包まずに耐えれば、より深いバークが育ちますが+2〜3時間かかります。

オーブンでも作れますか?

可能です。120℃に予熱したオーブンで天板に乗せ、6時間焼いた後、アルミホイルで包んで2〜3時間追加焼き。中心温度97℃で取り出してほぐします。煙の香りはなくなりますが、コラーゲンの変性は同じように起きます。

プルドポークの食べ方は?

ハンバーガーバンズにコールスローと一緒に挟む「プルドポーク・サンド」が王道。ピクルスを足し、BBQソースを少量かけるとアメリカ南部の味になります。タコス、ライスボウル、ピザのトッピングにも応用可能です。

PERFECT WITH

プルドポークにおすすめのラブ

10時間の長時間調理に向いた、豚肉専用ラブ

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